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町民に親しまれる場所 高鍋町美術館

みなさんこんにちは!
地域政策課のOです。今回は、「高鍋町美術館」についてご紹介します。
町民に親しまれている高鍋町美術館。今回は、高鍋町美術館の学芸員Aさんに、その魅力などをお伺いしました。

歴史や館内の特徴

移住者紹介

            ▲常設展示室の様子


O:高鍋町美術館の歴史や館内の特徴を教えてください。

Aさん:1999年11月3日に開館した町立の美術館です。多目的ホールには242席の観覧席や舞台、照明や音響の設備もあり、イベントや講演、映画上映なども行われます(現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、使用制限あり)。
 県内の公立美術館は3館しかなく、西都市・児湯郡圏では唯一の公立美術館です。これは、高鍋町の長い歴史や、高鍋町民の教育・文化に対する前向きな考えも影響していると思います。
 町民にとっては美術館の存在が当たり前で、遠足などで子供たちが美術館を訪れることもあります。町民と美術館の距離感が子どもの頃から近いと思います。

収蔵作品

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          ▲「アイロンがけ」児島虎次郎/高鍋町美術館蔵

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          ▲「後醍醐天皇と楠木正成」秋月可山/高鍋町美術館蔵

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          ▲「日本刀」和泉守国貞/高鍋町美術館蔵


O:収蔵作品の特徴を教えてください。

Aさん:現在、地域作家を中心とする約800点の作品を収蔵しています。高鍋町や宮崎ゆかりの方の作品が多く、地域色が強いですが、中にはジョアン・ミロや里見勝蔵などよく知られる作家の作品もあります。
 常設展は同時期に開催する企画展との連同を意識して展示しています。企画展を見た帰りに常設展も見てもらい、地元作家の作品を知ってもらえるように取り組んでいます。

印象に残っている企画展

移住者紹介

        ▲開館20周年記念企画展「パラレル・トラベル」の様子(写真:青地大輔)

O:企画展の内容について教えてください。

Aさん:毎年「高鍋町美術展覧会(無審査展)」や「西都・児湯の子どもたちによる絵画展」など、町内に住む方々の作品を展示する企画展を行っています。
 館内には制作のできる実習室というアトリエがあります。なかには開館以来21年間美術館に通い、制作活動を続けている方もおられます。無審査展はそういった方々の発表の場にもなっています。


O:今までで印象に残っている展示内容について教えてください。

Aさん:上記以外に、毎年内容を変えた企画展も開催していますが、特に印象に残っているのは2つあります。
 1つ目は、2019年に開催した、アーティスト・山城大督さんに作品制作を依頼した開館20周年記念企画「パラレル・トラベル」です。当美術館で初めて現代アートをテーマに企画展を行い、遠くは北海道からも来館され、多くの方から反響がありました。今まで現代アートに触れたことのない方々からは、率直に「よく分からない」「何とも言えない気持ちだ」という感想をもらうこともありましたが、今までにない色んな感情を知ってもらうことも芸術の役目だと思います。「よかった」以外の感情を引き出し、一緒に成長するような気持ちで開催しました。

 2つ目は、あるコンセプトにのっとり作品の選出および展示をおこなう宮崎アーティストファイルシリーズです。宮崎の若手アーティストを中心に「ファイリング(分類・整理する)」=「ある視点での鑑賞を提供する」という趣旨で実施しています。今までなかなか取り上げられてこなかった県内の若手の作家にスポットを当てたいと考えて始めました。
 今までの4回の開催は他県からも反響をいただいていて、県内の若手アーティストを多くの人に知ってもらえるきっかけになっていると思います。

高鍋町美術館の魅力

O:Aさんが考える高鍋町美術館の魅力や、あまり多くの方には知られていないポイントを教えてください。

Aさん:高鍋町美術館は、作品を鑑賞するためだけの場所ではなく、実技講座などを通じて地域らしいコミュニケーションもとることができる場所です。今まで美術にあまり触れてこなかった方にも気軽に遊びにきてもらえればと思います。
 あまり知られていないポイントとしては、団体単位でワークショップを実施できる「申込型ワークショップ」も行っています。繁忙期の場合は開催日は応相談となりますので、希望の1カ月ほど前までには相談していただければと思います。

今後の予定

O:今後の予定を教えてください。

Aさん:8月29日まで、町制施行120周年記念「書家・金澤翔子展」を開催しています。
 また、10月2日から5回目の宮崎アーティストファイルシリーズ「ギフト」展を開催予定しています。今回は障がいを持つアーティストにスポットを当て、県内の12人と県外からのゲストアーティスト1人の作品を紹介します。障がいの有無に関係なく個人が持つ芸術性に触れることで、身の回りに溢れる才能に気付く機会になればと考えています。

最後に

O:最後に、一言お願いします。

Aさん:高鍋町美術館は地域の今が知れる美術の現場です。
 移住される方にとっても、ほっとする場所や、交流の場所でありたいと思っています。
 移住された方が地域の魅力をより知ることができ、いろんな方と出会うきっかけとなることもありますので、ぜひお気軽におこしください。